ストーリー

 ストーリーは、なるべくなら公開しない方がベターなので、これから観ようと思っている人の検索にひっかからないように、このページには、3人のフルネームは書きませんので、よろしくね! 

 大俳優・大河内(幸)と、その後継者を狙う橘という青年(染)。
 役をとられまいと、大河内が橘を殺してしまうシーンから始まるんだけど、実はそれ、舞台稽古。まずここで、観客は騙される。
 けど、よ〜〜〜〜く観ていたお客さんには、それが単なる舞台稽古であることはわかるようにしてある。例えば、いっちばん最初に橘は、『大河内先生』と、彼の名前を呼んでいる。以降は、『先生』『きみ』になるんで、すっかり、名前なんて忘れた頃、いつの間にかその名前が『Sir.ロジャー』『ハロルド』(ロベルトだったかも・・・)に変わるわけで、言ってみればその時点で、途中から、劇に入っていることくらい気付きそうなもんなんだけど、脚本が巧みなので、ス〜ッと頭に入って来ちゃって、違和感も無く、騙されちゃう。あとになって、そういえば、最初に、日本人の名前、呼んでたじゃん!!!って。
 冒頭の舞台稽古は、今まで大河内が演じてきたハロルドという役を、橘に譲るかどうか、彼の実力を試すための舞台稽古、というストーリーなんだけど、そのSir.ロジャーとハロルドの劇ストーリーも、全く同じ、自分の役をとられまいとロジャーがハロルドを殺してしまうストーリーだから、ややこしい。
 そして、再び、大河内の提案で、花屋の娘、のりこ(紀)を観客にして舞台稽古をしよう、しかも、彼女には、舞台稽古であることは伏せ、本当に殺人があったように見せかけてみよう、ということになる。
 台本上の名前を本名に変え、騙しの劇のスタート!しかし、のりこは、洞察力が鋭く、脚本上の矛盾点を次々と指摘し、橘に、『彼はあなたを殺そうとしている』と忠告して止まず、ストーリー通りに舞台稽古が進まない。この辺りは、3人のコミカルな演技で、喜劇ばりに笑えます。
 だけど、いつの間にか、また、サスペンスに。
 大河内は、本当に橘を殺そうとしているのだ!と思ったら、やっぱり冗談。なあんだ、と思っていると、今度は紀子があやしい。ただの花屋として登場した紀子は、実は、大河内のことを恨んでいて、紀子が大河内を殺そうと・・・。しかし、それも演技で、実は紀子は大河内の娘。紀子と大河内はグルになって橘を殺そうとしていたのだ。・・・と思ったら、やっぱり、本当にただの舞台稽古、兼オーディション、『俺を殺してまで役を取ろうという位の根性がなければ、役者をやめろ』と言われてしまう橘。橘は逆上して、大河内を殺そうと。実は紀子は橘の婚約者でもあり、本当は、紀子と橘が組んで大河内を殺そうとしていたのだ。・・・と思ったら、それも嘘。でも、橘は、大河内のセリフにショックを受け、役者をやめる決意をして、去ろうとする。
 そこで、ぜんそくの発作を起こした大河内。それまでも、さんざん嘘のぜんそく発作を起こしていたので、『また嘘を・・・』と橘。大河内の発作はやっぱり嘘で、橘は出ていく。
 しかし、発作が嘘であったというのも、大河内の演技。『ハロルドの役は、橘に』という電話を残し、大河内は死んでいく。
 3人とも、マトリョーシカばりに、二重三重に仮面をかぶった役なんです。演じていても難しいだろうと思うよね。『染』なんて、オープニングで観客を騙す『ハロルド自身』、『ハロルドを演じる橘』『ハロルドを演じているうちに、素に戻ってしまう橘』『橘』と、全部演じわけていたもんね。声色まで変わったりして。
 『幸』も言うまでもなくすごい。客は、彼に翻弄される。だから、彼は、その仮面の違いを、最後まで客に感じさせてはいけないわけで、そのあたりは、さすが、のひとことですよねえ・・・。
 ぜんそくで苦しむシーンとか、本当に死んじゃうんじゃないかって心配したよお。
 いつのまにか、サスペンスから喜劇になって、泣かせる人情劇になっているんですねえ。

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